【ハインリッヒの法則】災害を未然に防止する為のバイブル
ハインリッヒの法則とは?
飛行機の安全や事故について学んでいく上で出てくるのが、「ハインリッヒの法則」です。
別名、「ハインリッヒの災害トライアングル定理」や「傷害四角錐」とも呼ばれています。
英語では「Heinrich’s Triangle」や「Heinrich’s law」と表現されます。
この法則を知っていると、大きな事故が発生してしまう前に人間のミスを防ぐ確率を高めてくれます。
ハインリッヒの法則は、発表後NASAなど多くの機関に「災害を未然に防止する為のバイブル」として、多くの書籍に引用されることにより世界中に広まっていきました。
その波は日本にも届き、旧国鉄(現在JRグループ)が労災事故の防止を目的に「330運動」という、ハインリッヒの法則に似たものを導入しました。
これは、ハインリッヒとほぼ同じで、「1+29+300」で、ちょうど330になります。
名前は違っても、根本的な考え方は同じものになります。
ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(Herbert William Heinrich)さんが、1929年に発表した論文「Industrial Accident Prevention-A Scientific Approach(産業事故防止への科学的アプローチ)」で世界中に広まりました。
上図のように、1件の重大な事故や災害の下には、29件の軽微な事故や災害、その下に300件のヒヤリハットが存在しているというものです。
航空機事故は印象に残りやすく、一度起こってしまうとマスメディアに連日のように取り上げられます。
事故が起きたという点だけを追いかけてしまっても、まさに氷山の一角で、事故の上っ面しか見られていない状況です。
その事故を起こしてしまったキートリガーがあるかもしれませんが、それ以外にも多くの軽微な事故やヒヤリハットが隠れているのです。
また、ハインリッヒさんは人間はミスをする生き物だが、人間のミスが原因で発生した災害のうち98%は、何らかの予防をすることができるといっています。
例えば、燃料切れになってしまい墜落したケースなどで考えられることは、「必要搭載燃料の計算ミス」「燃料計の故障」「便の遅れによる焦り」「空港の門限による焦り」「労働環境の悪化」「操縦士の労働時間超過」「燃料キャップの閉め忘れ」「急激な天候の悪化による予期せぬ使用燃料の増加」など、燃料が足りなくなり墜落した事故1件でも、その背景や周りにはいろいろ原因や関連が考えられます。
ハインリッヒの法則の後に続く法則
ハインリッヒの法則は1929年に発表されました。
その後にもいろいろ法則が発表され、いくつかのデータはハインリッヒの法則とは違うものが世の中に出回るようになりました。
1969年にFrank E. Bird Jr.さんにより「バードの法則」が発表されました。
さらに、1974年には「タイ」さんと「ピアソン」さんが、「タイーピアソンの結果」を発表しました。これは、イギリスの保険会社の約100万件のデータを分析し、どのぐらいの割合で重大事故やニヤミスが起きているかまとめられました。
そして、この結果をもとに「保険料率表」が作成されました。
まとめ
「災害を未然に防止する為のバイブル」として、いろいろな本に引用されてきたハインリッヒの法則は、今でも受け継がれています。
いうまでもありませんが、災害は航空業界だけの問題ではありません。
例えば、ガス給湯器の爆発事故の前には多くのクレームやヒヤリハットが発生していたかもしれないです。
そのほかにも、「交通事故」や「医療や介護の現場」など、人間が関わる職場の重大な事故を防ぐことに応用できるのではないでしょうか。
ハインリッヒの法則を活用して、より災害の芽が小さいうちに摘むことができればいいですね。
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