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【飛行機の着陸】ノーマルアプローチとランディング

これから数回に分けて、ランディングについてみていきたいと思います。

早速ですが、ノーマルランディングとは何ですか?

異常事態が発生していない状態以外のことをいいますか?

なかなかコツを掴むまでうまくいかない着陸ですが、どうやったらうまく接地する事ができますか?

これらに答えるべく早速、ノーマルアプローチとランディングについてみて行きましょう。

ノーマルランディング(Normal Landing)とは?

Normal Landingとは、通常の状態でおこわなれるランディングの事をさします。

通常の状態とは、「エンジン推力が失われていない」「風が弱い」「向かい風での接地」「ファイナルアプローチ経路上に障害物がない」「滑走路が飛行機のパフォーマンスに対して十分長い状態」のことです。

多くの滑走路には、接地帯標識が記されているので、そこめがけパイロットは飛行機をおろして行きます。

そして、そこから滑走路の1/3の距離の間までには接地させる事を心がけます。

ランディングのフェーズ

通常着陸やランディングと聞いて思い浮かべるのは、接地する瞬間やその前後のことを思い浮かべる人が多いと思います。

しかし、いいランディングの判断は優しく滑走路に接地したかどうかだけではなく、そこに至るまでのプロセスも大事なのです。

飛行機は環境の中を飛んでいるので、毎回状況が変わります。

しかし、いつでも安全に同じように飛行する事が求められます。

ランディングは、次の5つのフェーズに分けることができ、それぞれのフェーズをいつも同じように行うことができれば、いつでも同じように着陸することができるでしょう。

  • ベースレグ(The Base Leg)
  • ファイナルアプローチ(Final Approach)
  • フレアー(Flare)
  • タッチダウン(Touchdown)
  • 着陸後の滑走(The after-landing Roll)

です。まずすべてのフェーズにて大前提なのは、使用する機体のAFMやPOHを参考にして、正しい着陸形態を整え、対気速度を維持することです。

ベースレグ(The Base Leg)

まず初めに、ベースレグは上図のように進入する滑走に対して90°方向に位置するレグです。

ここのフェーズで重要なのは、滑走路への残距離に対して、高度が高いか低いかを判断することです。

ベースレグに進入したら、パワーを絞って高度をおろし始めます。

ランディングギアをおろし、フラップも着陸形態を整えはじめます。

AFMやPOHにベースレグでの速度が記載されていない時は、通常の小型単発ピストン機では、Vsoの1.4倍の速度に合わせます。

Vsoとは、着陸形態時での失速速度のことで、「Full Flaps」で「Gear Down」の状況です。

例えば、Vsoが60ノットの機体だったら、フラップとギアを下ろした状態で84ノットを目指して減速して行きます。

ベースレグでは完全にFull Flapまで下ろしてしまうのではなく、その前の段階までのフラップを下ろし着陸形態を整えて行きます。

Flapが1,2, fullと3段回になっているのであれば、Flap 2まで下ろします。

ベースレグでFull Flapにしないのは、接地点までまだ距離があるので、フラップを完全に下ろし空気抵抗が増えると、燃料を余分に食ってしまったり、抵抗が増えた分パワーを足すと地上への騒音が大きくなるからです。

さらに、ベースレグでの滑走路への距離がいつもバラバラだとアプローチは安定しないでしょう。

また、風向風速は毎アプローチ毎に変わるでしょう。

ベースレグから90°旋回して、滑走路を正面にした時、正体風が強いとその分押されてしまい、高度をロスしてしまいます。

なので、風向風速を予想してベースレグでは少し高めにいた方がいいのか、通常通りでいいのか判断することが求められます。

別の方法として、正面の風が強い時は、飛行ルートを短くする方法があります。

向かい風が強いと予想される状況では、あえていつもの飛行ルートを通らず、少し滑走路に近づくことで、ファイナルアプローチで高度ロスする分をベースレグで稼いでおく技があります。

ベースレグで「Before Landing Checklist」を行うのであれば、ランディングギアが本当に降りてロック状態か最終確認しておきましょう。

滑走路が正面に来たときに正体風になるということは、ベースレグではいつも横風が吹いている状態です。

ベースレグは横風なので、風に対して機首を合わせてあげないと、風に流されベースレグが滑走路中心線に対して歪んでしまいます。

この歪みの影響で、飛行距離が伸びたり縮んだりし、安定したアプローチができない原因となります。

多くの場合、ベースレグでの旋回は降下を伴う旋回になります。

ベースレグやファイナルレグに高い障害物がないことを確認しなければなりません。

もし障害物が近くなようなら、一度レベルオフをして障害物をクリアしてから再び降下開始する必要があるでしょう。

高度の管理に加え、飛行経路を適性に保ち、フラップやギヤを下ろすなど飛行形態を変え、速度を1.4Vsoにしなければならないなど、ベースレグはとても忙しいでしょう。

また、飛行機が旋回する場合直角には曲がれないので、旋回半径を考え少し手前から旋回を開始しないと必ずオーバーシュートしてしまいます。

旋回半径は、飛行速度に比例します。

飛行速度が速いと、旋回半径も大きくなります。

なので、より手前から旋回開始しないとオーバーシュートしてしまいます。

オーバーシュートしそうだからといって、ファイナルターンでバンク角を大きくしてはいけません。

バンク角を大きくすると、失速からスピンに落ちる可能性が高くなります。

地面付近でスピンに陥れば、残された高度で回復するのは不可能でしょう。

また、バンク角を大きくすることで抵抗が増え、速度が落ち、リフトが減り、失速速度が速くなります。

1.4Vsoまで減速しているので、失速へのマージンがクルーズ飛行などと比べ小さくなっているといえるでしょう。

バンク角を大きくしなければ曲がりきれない時は、一度Go Aroundしてもう一度体制を整え直すべきです。

そして、次回は今回より手前で旋回開始することにより、オーバーシュートをふせぐことができるでしょう。

ファイナルアプローチ(Final Approach)

ベースレグが終わると、次はファイナルアプローチに入ります。

飛行機の経路と、滑走路の中心線を合わせる必要があります。

飛行機縦の軸と、滑走路中心線を合わせるわけではないので注意が必要です。

正面の風や無風時だと、飛行機の軸に対して滑走路の中心線は平行になるでしょう。

しかし、横風が吹くなか飛行機の軸と滑走路の中心線を合わせて飛行すると、風下側に流されてしまいます。

なので、風の強さによって風上側に機首を振って、風下川に流されないようにする必要があります。

滑走路にアラインすることができたら、フラップを最終形態まで下ろし、一定の降下角で降りるために目標とする降下率を作ります。

フラップを下ろすことで抵抗が増えるので、ピッチを下げたりパワーを足したりする必要があるでしょう。

アプローチ速度がAFMやPOHに記載がない場合は、Vsoの1.3倍にすることが多いです。
Vsoが60ノットの場合、78ノットになります。

フラップを下ろし飛行機の形態が変わったので、トリムを取り直してあげると比較的楽にアプローチを継続することができます。

降下角の維持と対気速度の維持が、このフェーズでの重要な任務です。

せっかくベースレグで高度を調整しても、ファイナルアプローチで降下角が維持できないと全てが台無しになってしまいます。

降下角の維持は、「リフト」「ウェイト」「スラスト」「ドラッグ」のすべての力が関係してきます。

すべての力が釣り合っている時は、その状態を継続するだけで接地点まで一定の角度で降りていくことができるでしょう。

そのためにパイロットができることは、「対気速度の調整」「機体姿勢の調整」「パワー調整」「ドラッグ調整|フラップやフォワードスリップ」です。

それらに加え、風向風速の変化に対して機体をコントロールしてあげる必要があります。

風向風速は、高度変化により変わることがあります。

上空では追い風なのに、地上付近では向かい風に変わることもあるでしょう。

また風は、高度が下がると地面との摩擦の影響で弱くなる傾向があります。

そんな風の変化に対応するために、パイロットができることは「ピッチの上下」「パワーの出し入れ」です。

風向風速など環境的要因は毎回変わりますが、自分の中に目安を持っておくことは大切です。

例えば、無風状態ならピッチはどのぐらいで、ファイナルフラップの角度、パワーセッティングをどすると、対気速度が何ノットになるのかデータが必要です。

その基本情報をもとに、風が強いのでいつもよりパワーを足そうなどの目安を持った行動が取れるようになります。

良いアプローチと、ピッチとパワーの関係性

良いアプローチは、アプローチが安定しているということです。

降下角が接地点に対して一定で、対気速度は速すぎず遅すぎず、その結果フレアーが適切な量でおさまり、接地点を大幅に超えてしまうことはない状態です。

この状態を作り出すには、降下角の維持と対気速度の維持の正確さが全てです。

パイロットはこの2つを調整するために、ピッチとパワーで調整します。

ピッチが上がると、速度が落ちます。速度を一定に保つために、パワーを足します。

逆にピッチを下げると速度が増します。なので、パワーを絞って速度を一定に保ちます。

よって、ピッチ変化とパワー変化は、いつもどちらかが変化すると必ず後をついて回るものであります。

まとめ

今回は、ノーマルアプローチについてみてきました。

いいランディングをするためには、その前のファイナルアプローチが安定している必要があります。

ファイナルアプローチが安定するには、ベースレグが安定している必要があります。

このように、前々とさかのぼってみていくと、いいランディングというのは降下開始するところまでさかのぼれることでしょう。

もし降下開始地点が遅すぎると、降下パスが急になりすぎて、その修正に追われてしまうでしょう。

そのしわ寄せが、ファイナルアプローチまで影響してしまうと、着陸がうまくいかない原因となります。

ベースレグでも、滑走路の距離や風向風速により高度調整の必要性を学びました。

この複雑さが、着陸を難しくさせる要因となっているのではないでしょうか。

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