高気圧と低気圧の情報解読のヒント【パイロットのための航空気象】

高気圧

高気圧の種類

高気圧とは、大気の圧力が周囲の大気よりも高く等圧線が閉じたエリアを指します。このような状態では、大気は高気圧中心から外側に向かって時計回りに流れる「時計回りの風」を生じ、晴天や穏やかな天候が続くことが多いです。

また、高気圧は低気圧と対をなす概念であり、低気圧の発生源となることがあります。高気圧圏内では、風や雲の発生がほとんどなく、フライト日和の天気が続く傾向があります。

高気圧は、「成因」「構造」から、下記の3つに分類することが出来ます。

① 寒冷型高気圧
② 上層の高気圧
③ 温暖型高気圧

①寒冷型高気圧

寒冷型高気圧は、下層に寒冷な空気の層が蓄積されることで、高気圧域が発達します。通常、冷たい空気は暖かい空気と比べ、空気密度が高くなるため、より重たくなります。

寒冷型高気圧は別名「背の低い高気圧」と呼ばれ、高さは約10,000ft(3km)程度です。この高気圧のは発生要因が下層にあるため、比較的背の低い高気圧になります。

寒冷型高気圧は背が低いので、上層部に周囲の気団が侵入しやすい状態です。上層部で気団がぶつかることにより、「雲」が発生したり「降水」をもたらすこともある高気圧なのです。

また、地表面付近の寒気団が温められることにより大気が不安定になりやすく、天候を悪化させることもあります。

日本での寒冷型高気圧

日本では、内陸部に気温の下がった早朝に発生する傾向があります。局地的に発生する寒気団により、寒冷型高気圧は生み出されるので、規模はとても小さいものとなります。また、日が差して気温が上昇すると、寒気団は消滅するので、寒冷型高気圧も同じように消滅していきます。

シベリア・モンゴルでの寒冷型高気圧

シベリアやモンゴルで発生する寒冷型高気圧は、別名「シベリア高気圧」と呼ばれています。冬季にシベリア大陸が冷やされることにより、寒気団が発生するので、この高気圧も発生要因からみて寒冷型高気圧と分類することが出来ます。

②上層の高気圧

「①寒冷型高気圧」とは逆で、上層部分に高気圧が発生するものがあります。比較的軽い空気が下層付近に集まっている場所の上空に高気圧帯が発生することにより、地上天気図には高気圧帯が確認できなくなります。

温暖型高気圧と同じような性質を持っています。

③温暖型高気圧

普段の生活の中で空気の重さは感じなくても、空気には重さがあります。なので、空気の柱が高くなるほど、その下層部では周囲と比べ気圧が高くなります。温暖型高気圧は、このように上層にたくさんの空気が蓄積されることで発生する高気圧です。

≫参考:【大気圧】誰がどのように計測したの?

このような成因により、温暖型高気圧は「背の高い高気圧」ともよばれています。温暖型高気圧圏内では、下降気流が発生し、それに伴う断熱昇温の影響により、周囲より気温が高くなる傾向があります。

断熱圧縮と断熱昇温:空気が下降して気圧が上がると圧縮(断熱圧縮)され、圧縮により同時に気温が上がる(断熱昇温)。

この現象により、「温暖型」高気圧と呼ばれています。

温暖型高気圧圏内では、下降気流の影響で「晴天」が続く傾向があります。また、成因に持続性があるので、高気圧の存在も比較的長期間続きます。

北緯30度付近にできる「中緯度高気圧帯」は、温暖型高気圧と分類することが出来ます。日本では、夏に勢力を増してくる「太平洋高気圧」もジェット気流が蛇行することにより発生する「ブロッキング高気圧」も温暖型高気圧に分類されます。

 中・高緯度の上層のジェット気流が南北に大きく蛇行する場合には、 地上では大規模な高気圧が停滞することがある。 この高気圧をブロッキング高気圧といい、この様な現象をブロッキングという。 これが起こると、同じような気象状態が長期間継続して異常気象をもたらすことが多いため、 ブロッキングは週間予報や長期予報の重要な予測対象である。 ブロッキング高気圧の発生には、チベット高原などの大きな山岳、 大陸や海洋上の加熱が強く影響している。

出典:気象庁

シベリア高気圧

冬季の日本では、西から「シベリア高気圧」が近づき東方海上では「低気圧が発達」する傾向があるので、「西側:高気圧」「東側:低気圧」の気圧配置になることが多いです。

この気圧配置のことを「冬型の気圧配置」又は「西高東低型」と呼びます。冬型の気圧配置の影響範囲は広規模な上、比較的安定していることから、日本の冬の天気を支配しています。

 
小規模、中規模、大規模とはどのぐらいを指しているの?

「中規模」の程度が分かれば、それより大きいか小さいかで判断できるでしょう。以下に、気象庁が定義している「中規模現象」の定義をみてみましょう。

気象の分野では、水平スケールが20km~2千km程度の現象を中規模現象と呼んでいる。

気象庁

西高東低の気圧配置の特徴として、北又は西寄りの風が強まる傾向があります。これにより、日本海側では大雪、太平洋側では空っ風が吹き付け晴天をもたらします。

「西高東低(せいこうとうてい)」型気圧配置の特徴

大陸の高気圧が南西諸島から西日本にかけて張り出してくると、太平洋側では晴天のエリアが増え、日本海側では雪を降らせます。この型になるには、南西諸島付近から高気圧が張り出してくる必要があります。

出典:気象庁
出典:tenki.jp

「北高(ほっこう)」型気圧配置の特徴

大陸の高気圧が北日本や日本海側だけに張り出すと、北日本の太平洋側の地域だけが晴天となり、それ以外は天気が悪くなる特徴があります。

南西諸島付近から高気圧が張り出してくると「西高東低型」になり、「北日本方面(日本海付近)」から張り出してくると「北高型」となります。北高型になると、日本の南側に停滞前線が発生し天気が下り坂傾向です。

出典:気象庁
出典:tenki.jp

日本海側で大雪になる原理・原因

「シベリア高気圧」の主な要素は「シベリア気団」です。シベリア気団は内陸で発生するため、比較的冷たく乾燥しています。しかし、南東進する中で日本海海上で下層部分が徐々に温められると同時に、水分が海から供給されます。

下層部分の大気が暖められ軽くなり、上層部分の冷たく重たい大気とのバランスが崩れ始め、大気が不安定となり、対流現象を生み出します。これにより、積雲系の雲を発生し、日本の山脈を超える際に日本海側の地域に大雪を降らせます。

≫参考:【気団】シベリア気団・オホーツク海気団・揚子江気団・赤道気団・小笠原気団

シベリア気団の規模によりますが、以下のような特徴を持ちます。

大陸から100km地点:積雲の形成
大陸から300km地点:雪片の形成
大陸から500km地点:海面に降雪

太平洋高気圧

6月から7月にかけて、太平洋高気圧の勢力が増してきて、日本の上空では「オホーツク海高気圧」と「太平洋高気圧」の境目に梅雨前線が発生します。季節の進行と共に、太平洋高気圧の勢力は増していき、梅雨前線は北上するとともに梅雨が明けます。

梅雨明け後には、太平洋高気圧の勢力は拡大し、日本列島は太平洋高気圧に覆われます。太平洋高気圧圏内は、大規模な安定した空気の沈降があるため、晴天が続きます。日本列島の南側に太平洋高気圧が位置しているので、「南高北低(なんこうほくてい)」の気圧配置は、日本の夏の代名詞となっております。

南高北低の気圧配置は、晴天をもたらしますが、長く続くと干ばつなど水不足問題につながるので注意が必要です。

時に、オホーツク海高気圧からの吹き付ける冷たい風の影響で、冷たく湿った東寄りの風(やませ)が北海道から関東地方に吹き付けることもあります。この場合、気温は低下し、雲や降雨をもたらします。

日本海側は、奥羽山脈により東寄りの風がさえぎられるため、「やませ」の影響はほとんどなく、晴天が続きます。

太平洋高気圧の影響で、夏の日本は高温多湿の晴れた日が続きます。太陽からの強い日射により、午後から夕方にかけて大気が不安定となり、積乱雲が発達し、局地的な雷を伴う豪雨などが引き起こされます。

移動性高気圧

日本に影響をもたらす「夏の太平洋高気圧」や「冬の大陸高気圧」は、一定期間ほとんど移動しないものです。一方、「春の暖かな日」や「秋晴れ」などは、西から移動してくる移動性高気圧に覆われたときによく発生します。

春の初めに、大陸の高気圧の勢力が弱まることにより、日本の東海上には太平洋高気圧が出現します。東北地方を中心に、高気圧と低気圧が約3日周期で交互に通過していくようになります。

低気圧が通過する前は、南よりの風(反時計回りの為)が吹き込む影響で気温が上昇し、通過後は「西高東低の冬型の気圧配置」となり、寒さが戻ってきます。そして、次に続いている移動性高気圧の勢力が東進してきます。

先を行く低気圧から延びる寒冷前線は移動性高気圧の南側で停滞前線を作り出し、雲や降水現象を作り出します。

移動性高気圧の後面には温暖前線が連なっており、この前線の上を北側から「南方気団」が滑り昇ることが多く、広範囲に雲や降水をもたらします。よって、移動性高気圧圏内では、高気圧圏内の前方では晴天をもたらしますが、中心を過ぎて後方に差し掛かるころには天気が崩れ始めることが多いです。

移動性高気圧の中心が北側を通過したときは、天気が悪化する傾向を示し、南側を通過するときは比較的晴天に恵まれることが多いです。

4月の終わりごろになると、更に大陸の高気圧の勢力は弱まり、東北地方は移動性の高気圧に覆われることが多くなります。これにより、東北地方では、1年のうち最も日照時間が長くなります。

10月に入ると、再び大陸高気圧の勢力が増してきて、その一部が切り離され、移動性高気圧として東北地方を中心に日本を通過していきます。これにより、「秋晴れ」がもたらされます。更に季節が進み、更に太平洋高気圧の勢力が弱まるとともに、大陸の高気圧の勢力が増して、日本上空まで南下してきます。

この「大陸の高気圧(シベリア気団等)」と「太平洋高気圧」の境目に「秋雨前線(停滞前線)」が発生します。日本では、秋に台風の接近が多くなり、停滞前線に台風から暖かく湿った空気が流入すると、広い範囲で大雨をもたらします。

≫参考:【気団】シベリア気団・オホーツク海気団・揚子江気団・赤道気団・小笠原気団

移動性高気圧と天気が崩れる目安

移動性高気圧が日本列島を通過し、その中心が東方の太平洋海上に移動したときに、西日本から天気が崩れ始めると言われています。関東辺りの天気が変わるのは、移動性高気圧の中心が東経150度を過ぎたあたりが目安とされています。(※移動性高気圧の勢力が小さいものはさらに手前から天気が崩れ始め、大きいものはより進んでからとばらつきはあります。)

出典:気象庁
出典:tenki.jp

オホーツク海高気圧

「オホーツク海高気圧」が北から張り出してくると、北日本が高気圧圏内で覆われます。この高気圧圏外では、天気が崩れる傾向にあります。

オホーツク海高気圧の発生は、以下の3つのパターンがあります。

①北極から高気圧が南下してきたとき
 →「シベリア ≫ オホーツク海 ≫ 千島方面」へ南南東へ約3日程度で移動していくことが多い

②移動性高気圧がオホーツク海付近で一時停滞したとき
 →一時的に停滞するだけのことが多く、天気は順調に回復する傾向

③ベーリング海から高気圧が西進してきたとき
 →異常気象をもたらすこともあり、日本の冬の天気を乱す原因となっている

日本の「夏」の気候は「オホーツク海高気圧」と「太平洋高気圧」のバランスでできております。太平洋高気圧圏内で安定していると、晴天が続きます。オホーツク海高気圧は年々の変動が大きく、出現しない年もあります。

太平洋高気圧が日本列島に張り出さず、相対的にオホーツク海高気圧の勢力が夏に増すと、「やませ(冷たく湿った東寄りの風)」を生み出します。このやませが北海道から関東地方に吹き付けると、低温で曇りの日が続きます。農作物は「冷害」や「日照不足」などの影響により、生育が阻害されてしまうこともあります。

また、梅雨前線が日本列島上空で停滞してしまい、集中豪雨などによる洪水の被害を招くこともあります。

大陸高気圧

低気圧

低気圧の種類:温帯低気圧と熱帯低気圧

低気圧とは、大気の圧力が周囲の大気よりも低く等圧線が閉じたエリアを指します。低気圧圏内では、低気圧の中心に向かって反時計回りで風が吹き込む傾向があります。大気が不安定になることが多く、曇りや降水をもたらすことが多いです。

低気圧は、「発生場所」から、下記の2つに分類することが出来ます。

①温帯低気圧
②熱帯低気圧

※この低気圧の中心付近の最大風速が、「17m」以上のものを台風と呼びます。

低気圧の発生と発達(シャピロ・カイザーの低気圧モデル)

「前線は天気の運び屋」と呼ばれるほど、前線と低気圧の発生には深い関係があります。

≫関連:航空気象学における前線:その定義と対処法

アメリカの気象学者である「シャピロ」さんと「カイザー」さんという2名の方が発表した「シャピロ・カイザーの低気圧モデル」を参考に、低気圧がどのように発生・発達していくのか見ていきましょう。

低気圧の発達:フェーズ1

初めのフェーズでは、「寒冷前線」と「温暖前線」が連なっているうえに、小さな低気圧が生まれた状況です。この前線の幅は約400km程度です。

低気圧の発達:フェーズ2

フェーズ2では、「寒冷前線」と「温暖前線」が一直線上に連なっていたのものが、低気圧を中心に、半分に折れ曲がった状況になります。これを「前線断裂(Frontal Fracture)」と呼びます。

低気圧の発達:フェーズ3

フェーズ3では、「温暖前線」が「寒冷前線」の後方(西側)に回り込むように伸張し、温暖前線と寒冷前線で「T字型」に見えると思います。

温暖前線が寒冷前線の後方に回り込むように伸張することを、「後屈前線(Bent-back Warm Front)」や「後屈温暖前線」と呼びます。

また、温暖前線と寒冷前線とでT字型に見えることを、「前線Tボーン模様(Frontal T-bone)」と呼びます。

「Tボーン」の由来は、「サーロイン」と「ヒレ肉」が1枚につながって提供される「Tボーン(ビーフ)ステーキ」が由来です。

「T字型」の縦の棒を成している「寒冷前線」の東側と西側では、空気の性質が違います。

①寒冷前線の東側:相当温位の高い空気(高温多湿)

②寒冷前線の西側:相当温位の低い空気(低温乾燥)

低気圧の発達:フェーズ4

フェーズ4では低気圧の最盛期に達し、後屈前線が低気圧を取り囲むように強く巻き込まれ、暖域から隔離された「温暖核」が形成されます。このことを、「温暖核の隔離(Warm-core Seclusion)」と呼びます。

低気圧発達のエネルギー源

低気圧が発達するには、エネルギーが必要です。低気圧にエネルギーを供給している源は、以下の3つが挙げられます。

① 寒気団と暖気団の気温の差
② 水蒸気から放出される熱エネルギー
③ 回転運動

① 寒気団と暖気団の気温の差

多くの低気圧は、上図のように前線上にて発生します。前線は気団の境目なので、ぶつかり合う暖気団と寒気団の温度の差が離れているほど、より大きなエネルギーを保有していると言えます。

二つの気団がぶつかり合う時、より重たい寒気団は沈みこもうとし、より軽い暖気団は上層に上ろうとします。なので、気温の差が大きい時、より多くの「位置エネルギー」を保有していると言えます。そして、気団のぶつかり合いにより、暖気団と寒気団がそれぞれ上下に別れようとする際に、「位置エネルギー」から「運動エネルギー」へと変換され、強風として現れると言えます。

② 水蒸気から放出される熱エネルギー

低気圧の中心では、上昇気流が発生します。この際に、水蒸気が雲に変わろうとします。この時に放出される熱エネルギーが低気圧発達に一役買っているのです。上昇気流がより高温多湿だと、より多くのエネルギーを低気圧に渡すことが出来ます。

台風まで発達できる低気圧は、南の暖かい海面上でよく発生するのは、「温度」と「湿度」を必要とするからです。

③ 回転運動

上記の「フェーズ3」から「フェーズ4」へ移る際に、温暖前線は強く巻き込まれました。旋回半径が小さくなればなるほど、回転運動の速度は増していき、運動エネルギーが高まります。

低気圧の衰退(フェーズ5)

ピークを越えた低気圧は、徐々に衰退していきます。通常、寒冷前線の移動速度は温暖前線より早いので、先を行く温暖前線に寒冷前線が追いつく形で、閉塞前線が形成されます。

閉塞が始まると、低気圧の中心分では次第に風が弱まり、その周辺に暴風域が残ります。

前線の閉塞が落ち着くと、「上層に暖気団」「下層に寒気団」と住み分けがされ、低気圧へエネルギーを供給することが出来ず、空気の摩擦の影響などにより暴風域も衰退していきます。

低気圧域内の天気の目安

低気圧が近づくと天気は下り坂です。低気圧の構造をより細かく分けて、それぞれの場所ではどのような天気が予想されるのか見てみましょう。

天気にはいろいろな要素が複雑に絡み合っているので、必ずしも以下の通りになるとは限りませんが、大体の目安を持っておくことは大切です。

① 温暖前線の前方(北東方向)

温暖前線が近づくにつれ「上層に薄い雲」がかかり始め、中層雲が現れ、温暖前線が約300km程度まで近づいたとき「降水域」に覆われます。

② 温暖前線の後方(南西方向)

比較的良好な天気が予想されます。嵐の前の静けさといったところでしょうか。

「温暖前線」と「寒冷前線」で挟まれたこのエリアは、「低気圧の暖域」といわれ、比較的気流が下層から上層まで安定しており、天気が悪化することは少ないです。

③ 寒冷前線付近

「積乱雲」などが発生し、「背の高い雲」「降水」「落雷」などが予想されます。

日本付近の低気圧

低気圧は前線上にできることが多いです。日本は「中緯度帯に位置している事」に加え「大陸と海洋の間」に位置しているので、「大陸性の気団」と「海洋性の気団」がぶつかりやすい場所にあると言えるでしょう。

気団と気団がぶつかり合うところに前線が発生するので、日本付近では低気圧が生まれやすいのです。日本にやってくる低気圧で名前がついているものの一例は以下の通りです。

①台湾低気圧・東シナ海低気圧
②二つ玉低気圧
③日本海低気圧

①台湾低気圧・東シナ海低気圧

大陸性の高気圧の勢力が弱まると、「台湾」や「東シナ海」付近で低気圧が発生しやすくなります。この低気圧は、発達しながら東北東へ進み、日本の南側を通過していきます。この時に、日本に近づき「降水」や「雪」を降らします。

この低気圧派の発達速度はとても早く、24時間で中心気圧が「約10hPa」程度も下がることもあります。発生当初は1,000hPa程度であった低気圧も日本の東へ抜ける頃には、960hPa程度まで成長し、半径約2,000km程度を暴風域で覆うことも珍しくありません。

このエリアの海(日本の東~北東海上)が冬場に大しけになることが多いのは、この理由です。

②二つ玉低気圧

日本の「春・秋」頃には、大陸から移動性高気圧が東進してきます。後を追うように低気圧がついてきて、日本列島の「北側を進むルート(日本海側)」と「南側を進ルート(太平洋側)」の2通りがあります。

時に、2つの低気圧が日本列島を北と南で挟み込むときがあります。これを「二つ玉低気圧」と呼んでいます。

二つ玉低気圧の特徴は、以下の4つがあげられます。

①移動速度が速い
②急速に発達する
③広範囲に「暴風」「降水」「降雪」をもたらす
④東海上で1つにまとまり、さらに発達する可能性がある

③日本海低気圧

日本に春の訪れを告げてくれる「春一番」をもたらすのが、日本海低気圧です。中国華北地域から東進し、朝鮮半島を横断し、日本海に抜けてくるルートを通ります。

春一番:立春を過ぎて初めて吹く強い南よりの風のこと

この低気圧は、特に春先頃、日本海に抜けた後、急激に発達する傾向があります。発達した低気圧の暴風域が日本全体を覆い、強い南風(春一番)を吹かせます。南からの暖かく湿った空気が春の訪れを告げるだけでなく、日本海側では山脈を超えてきた風がフェーン現象で更に暖かくなり吹き下ろします。

急速に発達することから「爆弾低気圧」とも呼ばれることがありますが、正式な気象用語ではありません。気象庁では「爆弾」という言葉がふさわしくないとの理由から「急速に発達する低気圧」と定義されています。

爆弾低気圧の定義:中心気圧が24時間で24hPa以上低下する低気圧のこと

参考文献

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