地球上の大気の成分の主成分である「窒素」「酸素」「アルゴン」だけで、約99.9%の割合を占めています。
地球上には水が存在し、その水の状態変化により天気が変わります。大気中に含まれる水蒸気の割合は、「海面からの蒸発」や「植物からの蒸散」などにより、約0~5%です。
この地球上にある「水分の状態変化」の特徴を抑えることで、より航空気象の知識を深めていくことが出来るでしょう。
水の状態変化とは
水が状態変化することは、日常生活でおなじみのことだと思います。「水の状態変化」など、「呼び方」と「現象」が一致していないだけの方が大半だと思います。
上記図1.のように水は、「個体」「液体」「気体」と状態が変化します。状態変化したときのそれぞれの名前は以下の通りです。
液体:水、雨
気体:水蒸気
「氷」が溶けて「水」になることを科学の世界では「溶ける」ではなく「融解」と言います。それぞれの状態変化の際の名前は上記図1.の通りです。
水の状態変化を表にまとめると、下記のようになります。
呼び方 | 状態変化 | 必要エネルギー量 (カロリー) |
潜熱 | 熱の名前 |
凝結 | 気体(水蒸気)≫ 液体(水) | 600 | 放出 | 凝結熱 |
蒸発 | 液体(水)≫ 気体(水蒸気) | 600 | 吸収 | 蒸発熱(気化熱) |
凝固 | 液体(水)≫ 個体(氷) | 80 | 放出 | 凝固熱 |
融解 | 個体(氷)≫ 液体(水) | 80 | 吸収 | 融解熱 |
昇華 | 気体(水蒸気)≫ 個体(氷) | 680 | 放出 | 昇華熱 |
昇華 | 個体(氷)≫ 気体(水蒸気) | 680 | 吸収 | 昇華熱 |
水が状態変化するとき、エネルギーを「放出」したり「吸収」したりします。例えば、夏場に汗をかいたとき、汗が蒸発するときに、肌や衣服から熱を奪い取ります。これにより、体温が高まりすぎないように調節しています。
汗も水も同じで、水が蒸発するとき、周りから熱を奪い取ります。日本で古くから行われている「打ち水」もこの原理を利用してのことです。0℃の水1gが水蒸気になるとき、約600カロリーもの熱を吸収します。この時、水分が出し入れしている熱を「潜熱」と呼びます。
通常、水蒸気は「無色」「無臭」「無味」です。なので、目に見える雲は水分が「液体」と「個体」として存在していると言えるでしょう。
雲の中には、雨粒が育っています。下からの上昇気流と雨粒の重さが釣り合って、その場に浮遊している状態に見えています。雨は液体といえるでしょう。また、高層雲などはとても高い位置にある雲なので、雲の温度が氷点下になっています。なので、高層雲内の水分は、個体(氷)として存在しているのです。
通常人の目では見えない空気中の水蒸気は、気象衛星ひまわりから送られてくる「水蒸気画像」で確認することが出来ます。
≫参考:【パイロットと気象画像】可視画像、赤外画像、水蒸気画像、雲頂強調画像の見方と特徴
潜熱とは
上記の通り、水が状態変化をする際に熱を出し入れします。この時の熱を潜熱呼びます。「水」「氷」「水蒸気」はたくさんの「熱エネルギー」を持っています。状態変化が起こるときに、熱の一部が大気中に放出されます。
その放出されたエネルギー(潜熱)は、台風が発達するためのエネルギー源にもなっているのです。
なので、天気予報を行うということは、潜熱などの知識をもとに、私たちの周りの水分がどのようにして姿を現すかを予想する作業といってもよいでしょう。
上記図1.のように、水の状態変化は「凝結」「蒸発」「凝固」「融解」「昇華」の5つの呼び方があり、それぞれに発生する潜熱を「凝結潜熱」「蒸発潜熱」「凝固潜熱」「融解潜熱」「昇華潜熱」と呼ぶこともあります。
パイロットとして知っておくべき水の状態変化
【過去問】令和5年3月期/自家用操縦士/航空気象/学科試験問題3
このページで学んだ知識でこの問題は解けるでしょう。正答は(3)といえるでしょう。
【過去問】令和4年11月期/自家用操縦士/航空気象/学科試験問題2
この問題もこのページで学んだ知識で解けるでしょう。正答は(3)といえるでしょう。
【過去問】令和4年7月期/自家用操縦士/航空気象/学科試験問題2
上記2問とは出題傾向が違いますが、これも問題なく解けると思います。正答は(3)です。
【過去問】令和5年3月期/事業用操縦士/航空気象/学科試験問題1
水蒸気は目には見えないので(b)の記載が誤りだと言えるでしょう。他の記載は合っていると言えるので、正答は(3)でしょう。