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【GPWS】航空機事故が起きないように監督するシステム

【GPWS】航空機事故が起きないように監督するシステム

GWPSとは?

GPWSとは、「Ground Proximity Warning System」の略で、日本語では「対地接近警報装置」と呼ばれています。

名前の通り、航空機が意図せずに地面に近づいてしまっているとき、操縦士に警報で知らせてくれるシステムです。

この装置は、航空機の死亡事故の原因の上位であるCFIT (Controlled Flight Into Terrain)を防止するために開発されました。

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FAA(アメリカ連邦航空局)は1975年12月1日以降、全ての民間旅客機にGPWSの取り付けを義務化しました。

現在の日本でも同様に、GPWSの取り付けは義務化されています。

この装置の開発により、それ以来多くの人の命が救われています。

GPWSの仕組み

ハイテク旅客機にはコンピューターが積まれており、それを使って危険を察知しています。

このコンピューターが正しい判断ができるように、「Radio Altimeter」「Glide Slope」「着陸装置のポジション計」「昇降計」などから情報が送られ、今機体がどのようなフェーズなのか判断します。

例えば、着陸のためのアプローチ中に急にGlide Slopeから大きく外れてパスが低くなってしまうと、地面や障害物にぶつかる可能性が高まります。

そんな時に危険を察知して、このままいけばぶつかりますよと操縦士に教えてくれるのです。

もちろん、操縦士やAuto PilotがGlide Slopeからずれずにアプローチできれば一番いいのですが、GPWSは万が一の時の布石として役立ちます。

警報は音声と赤色の警報灯の両方で教えてくれます。音声警報は、何種類かあり、「Sink Rate, Sink Rate」「Pull Up」「Terrain, Terrain」「Too Low Gear」など何種類かあります。

これらの違いにより、操縦士は取るべき行動が変わってきます。

警報の種類は大きく分けて2種類で、「Caution(注意)」と「Warning(警告)」に分けられています。

通常はまず障害物などに近づきすぎていると、Cautionが発動し、さらに障害物などに近づき一刻も早い対応が必要になった際に、Warningが発動する流れになっています。

GPWSの警報がなった際には、すぐにでも回避行動を起こさなければいけないので、操縦士はそのような際にすぐに行動を取れるように訓練しているのです。

チェックリストを確認してどのように回避したらいいのか、確認している時間的猶予はないので、「Memory Item」 と言う形で、操縦士は皆暗記しています。

一回発せられた警報は、その状況がクリアーになったとコンピューターが判断するまではずっと鳴り続ける仕組みになっているのです。

Vector illustration of a mountain landscape with coniferous forest

EGPWSとの違いは?

GPWSの他に、とてもよく似たEGPWSというシステムがあります。一体この二つの違いはなんなのでしょうか?

GPWSは目の前に障害物が現れたら、警報を鳴らす仕組みになっています。

しかし、突然目の前にそびえ立つ山が現れても、飛行機のパフォーマンス的に避けきれないことがあります。

そんな、避けきれない事象をなくすために、EGPWS (Enhanced Ground Proximity Warning System」が開発されました。

ちなみに、「Enhanced」の意味は、「強化された」と言う意味なので、パワーアップされたGPWSと言う意味です。

EGPWSは、機体の前方をスキャンするシステムに加え、全国の山などの地形をデータベースとしてインプットしておくことで、どこにどのぐらいの山があるかなど判断できるようにしました。

さらに、GPSと組み合わせることにより、機体がどの場所にどの高度で飛行しているのか正確にわかるようになりました。

この「データベース」と「測位システム」のおかげで、、今までは目の前に突然障害物が現れるまでわからなかったのに対して、このままいったらぶつかりそうなど、以前より早い段階で回避の準備できるようになりました。

なので、GPWSからEGPWSに進化することで、危険を察知するための視野が広くなったと言えるでしょう。

GPWS警報発動条件

「Honeywell社」のEGPWSは、現在多くの民間旅客機に使われています。

その歴史は長く、約30年の開発の歴史と累計3億台もの販売実績を持っている会社です。

この会社のGPWSの警報発動条件は全部で5つで、それぞれ、「Mode 1」から「Mode 5」に分けられています。

【警報発動条件】電波高度計の高さが対地2,500ft以下で:

  1. Mode 1:過大な降下率になった時
  2. Mode 2:地表への接近率が過大になった時
  3. Mode 3:「Take Off後」と「Go Around後」に高度を下げた時
  4. Mode 4:最終着陸形態でない時に、障害物との距離が十分でなくなった時
  5. Mode 5:Glide Slopeから大きく逸脱して低くなった時

GPWSを鳴らしたくない時

航空機が一番障害物に近づく場面は、離着陸時ではないでしょうか。

GPWSが警報を鳴らす条件を5つ見てきましたが、離着陸時にこの条件を逸脱しなければいけないことが、毎回ではありませんが起きる時があります。

例えば、通常A320ではFlapはUp Position からFull Positionまでの5段階あります:「Flap Up」「Flap 1」「Flap 2」「Flap 3」「Flap Full」

通常の着陸形態はFlap Fullで降りるので、Flap 3で着陸するときなどは、機械にインプットしてあげないと、人間が故意にFlap 3で着陸しようとしているのか、ただFlap Fullにするのを忘れているのかわからないです。なので、この場合はMode 4が引っかかり、警報がなってしまいます。

また、ある空港のアプローチでは、Glide Slopeからかなり低くアプローチをしなければいけない場面ができたとすると、何もしないとMode 5の条件が当てはまり、GPWSが鳴ってしまいます。

そんな時に、GPWSが警報を鳴らしてしまってはなってもしょうがない場面なのか、また別の件でなっているのかわからなくなってしまいます。

そんな状況をなくすために、「オーバーヘッドパネル」にGPWSを意図的に鳴らさないようにするスイッチがついているのです。

通常はOFFの状態ですが、これを押すことによって意図的にGPWSを鳴らさないようにすることができるのです。

A320のオーバーヘッドパネルにあるGPWSのスイッチ

GPWS (EGPWS)に似たシステム

GPWSからEGPWSに進化した流れを見てきました。

この二つのシステムによく似たシステムが、現在軍事用ですが使われています。

それは、Auto-GCAS (Automatic Ground Collision Avoidance System)と呼ばれるもので、米軍のF-16, F-22, F-35に採用されています。

GPWSのように、コンピューターと他の装置からの情報で危険を察知します。

そして、Auto-GCASが発動したら、Auto Pilotが飛行機の操縦を操縦士から引き取り、安全な飛行に自動的に戻してくれるシステムになっています。

GPWS (EGPWS)は、警報がなったら操縦士が「Memory Item」などに従い、行動を取らなければいけなかったのに対して、自動で回避してくれるところが大きな違いです。

Auto-GCASの開発や安全確認、他の計器との相性や互換性実験が進めば、より安全なシステムが民間旅客機にも導入されることでしょう。

過去にあった事故・重大インシデント一覧

GPWSやEGPWSが開発されてきましたが、完全にCFITを無くせたわけではありません。

過去にあった事故や重大インシデントの一部のリストを載せておきます。

 

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