【着氷フライト準備】着氷時フライト前に自分に問いかけるべき事9選
地上のプランニングの段階から、安全なフライトは始まっています。
VFRフライトでは、まず雲などに入らない事が先決です。
いくら気温が低くても、水分がないと氷ができることはないです。
IFRフライトは、基本的に雲の中も飛行するのでより、アイシングに対しての対応が複雑になります。
出発前に、ウェザーブリーフィングをしたり、テレビからの情報収集、天気図の解析、気温や雲の分布の予想、風向風速などによる雲の移動、上空の気温など事前の準備が安全運航を行う上でとても大切です。
そんな、事前準備の段階で自分に問いかけるべき事があります:
- 前線はどこ?
- 自分のフライトに影響しそうなエリアに前線が邪魔をしていないのか、天気を大きく捉えましょう。
- 前線はどこに向かっている?
- 自分が飛び立つときにはどこに前線があり、到着する頃にはどの辺に前線が移っているのでしょうか。
- 雲頂はどのぐらい?
- 雲頂が30,000ftなど高いと、登り切るのが精一杯です。多くの、レシプロエンジンでは、8,000ftぐらいが限界でしょうか。山脈の上にできる雲は、持ち上げられ高いところまでリーチすることもあります。
- 雲底はどのぐらい?
- 雲底に逃げられれば、低いところは比較的暖かいですし、雲から抜けられれば、凍りつく可能性も減るでしょう。しかし、地面や障害物に近づきすぎたら危険です。
- 比較的暖かい空気はどこにある?
- IFR機は、MEA以上を飛行する事が多いですが、もしその高度が使えなかったり、MEA以上が着氷域だった場合はどうしますか?レーダーベクターをもらったり、どこか暖かい方へ逃げる必要があるでしょう。
- 単発の雲なのかフロントによる雲なのか?
- 単発の雲は抜けやすいですが、フロントにより作られる雲は、ライン状になったり、比較的広い範囲に影響を与えます。
- 代替のルートは計画済み?
- Aルートがダメなら、Bルートで行けばいいと、代替案があると安心です。地上でのプラン通り行かないことも多いので、上空で代替案を採用できるように準備しておけば憂いはないでしょう。
- 逃げ道はある?
- もし、着氷域に飛び込んでしまって、翼がみるみるうちに凍りついてきたらどうしますか?上昇しますか?180°旋回して、来た道を戻りますか?最寄りの空港に着陸できそう?など、いつでも逃げ道を考えておく事が得策でしょう。
- パイロットレポートは確認した?
- パイロットが実際に飛行して、情報を与えてくれています。その貴重な情報を使わない手はないでしょう。逆に、自分が危険だと思ったり、情報をシェアしたほうがいいと思ったら、迷わず他のパイロットのためにも情報を提供してあげましょう。どんなタイプの飛行機がレポートしたのかは注意しましょう。旅客機と小型機では感じ方が全然違うからです。また、いつ発表されたものですか?天気は刻一刻と変化しているので、45分前の情報よりも古いものは、もう使い物にはならないかもしれないでしょう。
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【参考文献】