【まとめ】フライトコンピューターの使い方

はじめに

飛行機の歴史が浅い時期は、「飛行速度」「飛行時間」「距離」「燃料消費量」などを計算するために、数式が使用されていました。

時は進み、現在の最新鋭の旅客機には、FMS(Flight Management System)が2台以上搭載されていることが多く、上記データを自動的に計算しモニターに映し出してくれます。

FMSはとても高価なもので、機種やメーカー、機能、サポート等によって異なりますが、数億円から数十億円の費用がかかります。

一方、機械式(アナログ式)のフライトコンピューターは、数千円から4万円程度でき、飛行計画やナビゲーションに関連する数多くの問題を計算することができます。

このページは、そんな機械式のフライトコンピューターの使い方をまとめたページです。

フライトコンピューターは、日本語で「航法計算盤」と呼ばれます。作っている会社により呼ばれ方が異なっており、例えばJeppesen社が出している航法計算盤は「E6B」と呼ばれ、他にも「TANC-3」「CRP-5」など種類はありますが、大体できることは同じです。ここのページでは、Jeppesen社の「E6B」を使用しております。

①フライトコンピューターの構成

E6Bとは、航空計算尺とも呼ばれる、機械式計算器の一種です。E6Bは、航空機の飛行計画、燃料消費量の計算、速度、距離、高度などの航空計算を行うために使用されます。

E6Bは、円形のディスクと直線のスライドレールが組み合わされたもので、様々な計算に利用できます。

E6Bは、機械式計算機の原理を理解し、緊急時にはバックアップとして使用することができるため、航空産業においては重要な存在として扱われています。

どのような構造になっているのか気になる方は、下のリンクから確認してみてください。

②「所要時間」の計算方法

問題です。あなたは今120ktsで飛行しています。残り150nm飛行するには何分かかるでしょうか?

算数で習った「みはじ」「はじき」「きはじ」で簡単に出せる問題ですが、フライトコンピューターを使って一瞬にして計算する方法をご紹介しています。

③「飛行距離」の計算方法

問題です。あなたは今120ktsで飛行しています。2時間30分飛行したら、何マイル(nm)移動しているでしょうか?

算数で習った「みはじ」「はじき」「きはじ」で簡単に出せる問題ですが、フライトコンピューターを使って一瞬にして計算する方法をご紹介しています。

④「飛行速度」の計算方法

問題です。あなたは距離200nmを飛行するのに、1時間20分かかりました。平均飛行速度はどのぐらいだったでしょうか?

算数で習った「みはじ」「はじき」「きはじ」で簡単に出せる問題ですが、フライトコンピューターを使って一瞬にして計算する方法をご紹介しています。

⑤「短い飛行時間」の計算方法

問題です。あなたは速度130ktsで距離1.8nm飛行するとき、どのぐらいの時間がかかるでしょうか?

この問題は、②の「所要時間」を計算する方法と似ていますが、距離がとても短いことが相違点です。②と同じように計算してしまうと、誤差が大きくなってしまうので、数秒単位など所要時間が短い時の計算方法をご紹介しています。

⑥「燃料消費時間」の計算方法

問題です。1時間に12ガロンずつ消費する小型機があります。16ガロン積載した時、どのぐらいの時間飛行することができるでしょうか?

16ガロンを12ガロン/時で割れば計算できますが、フライトコンピューターで一発で計算する方法をご紹介します。

⑦「燃料消費量」の計算方法

問題です。飛行時間1時間につき、12ガロンずつ消費する小型機があります。2時間飛行すると、どのぐらいの燃料を消費するでしょうか?

今回の場合、12ガロン x 2時間 = 24ガロンと簡単に計算して出すことが出来ますが、暗算が出来ない数字になったときの為、フライトコンピューターで簡単に計算する方法をご紹介します。

⑧「真対気速度(TAS)」の求め方

問題です。気圧高度:10,000ft、外気気温:-20℃、指示対気速度:150ktの時の真対気速度はどのぐらいでしょうか?

TASを求める問題ですが、フライトコンピューターで簡単に出すことが出来ます。

⑨「マッハ数」を「真対気速度(TAS)」への変換方法

問題です。外気温度:0℃のときのマッハ1.1は、真対気速度(True Airspeed)何ノットでしょうか?

TASを求める問題ですが、フライトコンピューターで簡単に出すことが出来ます。

⑩VORまでの「所要時間」と「距離」の求め方

問題です。ある小型機のパイロットは、対地150ktで飛行中、VORのベアリングが5°ずれる時間を計ったところ、2分かかりました。では、この小型機からVORまでの距離と時間はどのぐらいでしょうか?

VORまでの「所要時間」と「距離」を求める問題ですが、フライトコンピューターを使って2段階に分けて出すことが出来ます。

⑪「真高度」の求め方

問題です。12,500ftを飛行中、外気温度は-20℃でした。高度計は30.42inHgに合わせています。この時の真高度はどのぐらいでしょうか?

真高度を求める問題ですが、フライトコンピューターで簡単に出すことが出来ます。

⑫「密度高度」の求め方

問題です。「気圧高度:10,000ft」「外気温度:-20℃」の時の「密度高度」はどのぐらいですか?

密度高度を求める問題ですが、フライトコンピューターで簡単に出すことが出来ます。

⑬「掛け算」のやり方

問題です。12 x 25の答えは?

電卓があれば簡単に計算することが出来ますが、フライトコンピューターでも計算することが出来ます。その方法が気になる方は、以下のリンクをクリックしてみましょう。

⑭「割り算」のやり方

問題です。9,000ftの高度処理を20分以内に終わらせるには、何ft/minで降下したらいいでしょうか?

9000ft / 20min = 450ft/minと計算できますが、フライトコンピューターでも計算することが出来ます。その方法が気になる方は、以下のリンク先で学んでみましょう。

⑮「ft/nm」から「ft/min」への変換方法

問題です。障害物を避けるために160ft/nmで上昇しなければならい時、対地速度150ktで飛行していたら、何ft/minで上昇すれば避けられるでしょうか?

離陸直後など障害物から近い時は、目の前の障害物を避けられるか気になりますよね。

⑯「対地速度」と「真機首方位」の求め方

問題です。「True Course(TC):030°」「TAS:170kt」「風向風速:080の方向より20kt」のときの、「True Heading(真機首方位)」と「GND Speed(対地速度)」を求めなさい。

この問題は、フライトコンピューターの裏面も使います。ぜひ使い方をマスターしましょう。

⑰「風向」「風速」の求め方

問題です。次の条件の時、風はどの方向から何ノット吹いているでしょうか?「True Course:120°」「GND Speed:140kt」「True Heading (TH):115°」「True Airspeed:150kt」 

⑯の問題もそうですが、風が絡んでくるとフライトコンピューターの裏面を使用します。FMSでは、上空の風を自動的に計算して表示してくれますが、自分でフライトコンピューターを使って計算できるようにしておけば、何かあった際のバックアップとなるでしょう。

⑱ベストな高度選定方法

問題です。次の条件の時、一番早く目的地に到着するのはどの高度を選定した時でしょうか?

  • True Course (TC) : 260°
  • True Airspeed (TAS) : 156kt
  • 風向風速:
    • 3,000ft – 310°/22kt
    • 6,000ft – 340°/15kt
    • 9,000ft – 030°/10kt

高度によって吹く風が違います。少しでも目的地に早く着くには、追い風をうまく利用してあげたり、向かい風が弱い高度を飛行する事が必要です。

より早く目的地に着けるということは、燃料もそれだけセーブできるということにつながります。

⑲「飛行範囲」の求め方

あなたは、離島で遊覧飛行をしようと、燃料の積載限界により最大200分飛行可能な機体をレンタルしました。

この時、離島から離れる方向に飛行したら、100分以内にUターンをして戻らないと、帰りの燃料がなくなることは想像がつきます。しかし、上空では風が吹いていないことはないです。

風を考慮して、何分アウトバウンド出来るのか計算できますか?

では、問題です。次の条件の時、燃料切れになる前に出発空港に戻るには、どのぐらいの時間と距離を飛行したら引き返さなければいけないでしょうか?

  • True Course (TC) Outbound : 060°
  • True Airspeed (TAS) : 120kt
  • 風向風速 : 052°/30kt
  • 使用可能搭載燃料:48 gal (ガロン)
  • 機体の燃料消費量:6 gal/h

※ 上昇中、降下中、旋回中の燃料消費、最低搭載燃料等は考えないものとする。

⑳「偏流角」の求め方

問題です。ある小型機が、288nm離れているA空港からB空港へ向かっている最中、120nm飛行したところで18nmコースの右にそれていました。ここからB空港にまっすぐ飛行するには、機首を何度左に振ったらいいでしょうか?

飛行計画通りに飛行出来たら最高ですが、大概は風や飛行技術によりフライトコースがずれてしまうでしょう。

その際に、無駄な動きをせずに目的地に向けてコースを修正する方法をご紹介します。

㉑「華氏」と「摂氏」を変換する方法

日本で暮らしていると「華氏」に触れる機会はあまりありませんが、米国では当たり前のように使われています。

華氏を摂氏に変換するには、「華氏から32を引いて5/9をかける」

逆に、摂氏から華氏に変換するには、「摂氏に9/5をかけてから32を加える」など、計算方法がありますが、フライトコンピューターで一発で出す方法があります。

㉒「kg」を「lbs」へ変換する方法

問題です。「10kg」は「何lbs」ですか?

ポンドは「アメリカ」や「英国圏」でよく使われている重さの単位です。ボーリングの玉もポンドで表記されていますよね。(12lbs=約5.4kg)

㉓「英ガロン」を「米ガロン」へ変換する方法

マイナーな変換かもしれませんが、「英ガロン:IMP gal」と「米ガロン:US gal」は違うものです。フライトコンピューターでその方法を知りたい方は、下のURLをクリックしてみてください。

㉔「m」を「ft」へ変換する方法

日本ではメートル表記が主流ですが、米国ではフィート表記です。FAA発行のパイロットライセンスに身長を記載する欄がありますが、フィート表記となっています。

では問題です。10mは何ftでしょうか?

㉕「km」を「sm」と「nm」へ変換する方法

問題です。20kmは何smで、何nmでしょうか?

航空業界では距離をnmで表記することが多いです。米国の道路標識などはsmでの表記となっております。

もちろん、日本ではkm表記が主流となっていますよね。

それぞれへの変換方法を見ていきましょう。

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