【飛行機のエンジン】ターボチャージャーの温度管理

【飛行機のエンジン】ターボチャージャーの温度管理

ターボチャージャーを使用するにあたっての注意点2点は、「温度管理」と「圧力管理」です。

温度に関しては、「TIT:Turbine Inlet Temperature」「EGT:Exhaust Gas Temperature」「シリンダーヘッド温度」が特に重要です。

「TIT」と「EGT」はターボチャージャーの高温になるパーツを守ために設定され、「シリンダーヘッド限界温度」は、エンジン内部のパーツを守ために設定されています。

ターボチャージャーは、吸気した空気を圧縮するので、ターボチャージ機能が付いていないエンジンと比べて、高温になります。

高高度飛行をしていると、気圧が低いのでエンジンクーリングにとっては効率が低下してしまいます。

また、気圧が低いという事は、それだけコンプレッサーがよく働き空気を圧縮してあげないといけないです。

この2点により、ターボチャージャーはより高温になりやすいです。

言うまでもありませんが、高温になると言う事はピストンエンジンのオペレーションにとっていいものではありません。

「ピストン」「ピストンリング」「シリンダーヘッド」「その他エンジン内の可動パーツ」などを痛めやすいです。

シリンダーヘッドの温度が高くなりすぎると、「デトネーション」を引き起こす事があります。

デトネーション

「デトネーション」を引き起こしてしまうと、エンジンに壊滅的なダメージを引き起こしてしまいます。

このように、ターボチャージャーを使用するにあたり、温度管理は外せないとても大切な項目であると言えるでしょう。

見るべき計器と温度調節

ターボチャージャーの状態をモニターするにあたり「マニフォールドプレッシャーゲージ」「タコメーター」「EGT」「TIT」「シリンダーヘッド温度」を注視しましょう。

「スロットル」「プロペラのRPM」「ミクスチャー」「カウルフラップ」を操作してあげる事で、パイロットが温度調整をする事ができます。

上昇中

テイクオフ後などに温度制限を超過するときは、それほど問題ではないです。

なぜなら、通常このような高出力セッティングの時は、ミクスチャーはほぼフルリッチ状態で、シリンダーに供給される多量の燃料により、冷却されるためです。

クルーズ中

クルーズ飛行になるとミクスチャーをリーン側にセットし、燃料セーブする事が多いです。

この時に、エンジン計器の温度を注意してモニターしておかなければ、スロットルを絞って低出力になっていたとしても、エンジンの温度が最高点に達する事があります。

エンルート中の上昇などは、カウルフラップを開いたり、対気速度をあげたりして冷却を考えてあげる必要があります。

クルーズフライト中では、「ミクスチャー」のコントロールが一番「EGT」「TIT」を下げるのに効果的なアイテムです。

降下中

ターボチャージャーは高温になりやすい事を見てきました。

温度が通常のエンジンよりも高くなりやすいと言う事は、急激に冷やされると冷却によるダメージが引き起こりやすいと言う事です。

特に降下の段階では、「スロットルをゆっくり絞る」「エンジン温度を注視」する必要があります。

先ほどは、熱くなりすぎる心配をしておりましたが、降下の時など出力を絞っている時は、逆にエンジンが冷えすぎるのを注意してあげる必要があるのです。

エンジンが冷え過ぎてしまったのであれば、一度レベルオフをしてスロットルをふかしてあげたり、ランディングギアを下ろして空気抵抗を増やしてあげる事により、出力を少しでも高くセッティングする事ができます。

これにより、スロットルアイドルで降下して行くよりも、急激にエンジンが冷えるのを防止してくれます。

また、若干ミクスチャーをリーン側にしておく事でも、エンジン温度を高くする調整が可能です。

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