【航空機事故】エールフランス296便事故について
概要
- 日付:1988年6月26日
- 出発地:ユーロエアポートバーゼル=ミュールズ空港
- 目的地:フランスのアブシーム空港でローパス予定
- 使用機材:エアバス式A320-111型 (F-GFKC)
- 乗員乗客:136名
- 機長:ミシェル・アシュリーンさん(総飛行時間1万時間以上のベテラン)
- 犠牲者:3名
エールフランス296便は、1988年6月26日現地時刻12:45分頃にA320の初飛行と同時に、民間旅客機初のフライバイワイヤシステムを搭載したA320を、フランスのミュルーズアブシーム空港で行われている、航空ショーで披露すべく飛行していました。
航空ショーでは、RWY02 上空を約100ftの高さでローパスし、パリに引き返す予定でした。
しかし、高度を下げすぎたため滑走路近くの森に墜落し、炎上してしまいました。
原因
キャプテンのミシェル・アスリーンさんはエールフランスに約20年以上務めており、社内でもトレーニングキャプテンを任されるなど信頼も厚かったです。
総飛行時間は1万時間以上あり、A320の初飛行の前にはA300やA310での飛行経験がありました。
さらに、社内のA320部門を率いることになっており、開発段階から飛行訓練などに深く関わり、様々な運用テストを行う経験をしておりました。
初飛行前日まで乗員達は他のフライトで忙しくしており、フライトプランは当日の朝に受け取りました。
両パイロットともミュルーズアブシーム空港には不慣れであったにも関わらず、FMSにミュルーズアブシーム空港は小さすぎるためデータが入っておりませんでした。
なので、目視によって飛行するしかありませんでしたが、事前準備が不足していたようです。
不慣れな空港や機体に加え、準備不足により空港発見が遅れ、空港を発見した際にはこのままではローパスの目標高度に対して高すぎると判明しました。
さらに、当初RWY02にローパスする予定が、機長はRWY34の近くに観客が多いことに気がつきました。
なので、急遽ターゲットをRWY02からRWY34に変更することになり、このハプニングにより両パイロットとも高度計以外へ集中してしまい、40ftの高さになってしまいました。
また、ローパス予定なのでFlap 3で失速ぎりぎりの速度まで落としていました。
RWY34は芝生の滑走路で、その奥には森が茂っております。
しかし、コックピットからの景色は、近くまでは芝生の色の変わり目程度にしか見えなかったようです。
機長は高度が低いのと森に突っ込みかかっているのに気が付き、エンジンを最大出力(TO/GA)にしましたが、A320のコンピューターはAlpha Protectionモードに入っており、昇降舵が反応せずに約5秒後に森に突入してしまいました。
エンジンは停止し、燃料タンクの破損により燃料が飛び散り、その後出火しましたが犠牲者は3人でした。
まとめ
「段取り八分」という言葉がぴったり当てはまる事故ではないでしょうか。
通常FMSのデータやILSなど空港の施設などを使用して、飛行機はアプローチしています。
どのルートを飛行すれば安全が担保できているかわかっていますし、オートパイロットの力も利用することができます。
しかし、Visual Approachなどパイロットの目や経験がものを言うアプローチでは、うまくいくかどうかは準備段階で決まるのではないでしょうか。
- 空港はどこにあって、その周りに高い建物や障害物はないのか?
- 飛行ルートはどうするのか?
- どの滑走路にローパスするのか?
- どのようなスレッドが考えられるのか?
- 二人のパイロットの役割はどうするのか?
今回の事故は、パイロットのヒューマンエラーによるものだと言えるでしょう。
どんなに優秀で信頼のあるパイロットでも、事前準備を怠ったり突然の変更が加わるとうまくいかないということがわかりました。
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【参考文献】
- 「エールフランス296便事故」(2019年9月24日 (火) 14:00 UTCの版)『ウィキペディア日本語版・英語版』