
【航空機事故】アメリカン航空1420便オーバーラン事故について
概要
- 日付:1999年6月1日
- 航空会社:アメリカン航空
- 使用機材:マクドネル・ダグラスMD-82(機番:N215AA)
- 乗員:6名
- 乗客:139名
- 犠牲者:11名
- 出発地:ダラス・フォートワース国際空港
- 目的地:ビル・アンド・ヒラリー・クリントン・ナショナル空港(リトルロック・ナショナル空港)
アメリカン航空1420便は、予めのスケジュール予定では現地時刻21:41分に、リトルロック・ナショナル空港に到着予定でした。(現在:ビル・アンド・ヒラリー・クリントン・ナショナル空港)
アメリカ本土の天候が悪く、使用する予定の機材が遅れ、運航乗務員の勤務時間の制限も迫っていた為、代替の機材を準備して約2時間遅れでダラス・フォートワース国際空港を出発しました。
さらに、目的地であるリトルロック・ナショナル空港の天候も悪化し、着陸に支障をきたす恐れがある事が地上から伝えられておりました。
目的地に近づいてくると、アメリカン航空1420便は強風と大雨に遭遇し、機体が大きく揺さぶれられておりました。
当初、RWY22Lにアプローチ予定でしたが、機長が着陸時に正対風になるように、RWY04Rを要求しATCからも許可が出されました。
RWY04Rに計器進入を行っている最中も、操縦士達は嵐が来る前に着陸をしなければならないと、焦りが出ておりました。
焦りから、チェックリストの複数箇所をやり忘れているのにも気がつきませんでした。
これにより、オートブレーキとオートスポイラーシステムの設定がされていない事に気づかず、アプローチをしてしまいました。
また、1,000ftで副操縦士が気がつくまでは、フラップは着陸位置にする事も忘れておりました。
この時の目的地の風向風速は、Wind330/25ktで、これはMD-82の横風制限値(20kt)を超えていたのに加え、ウィンドシアが報告されていたのにもかかわらず、アメリカン航空1420便は着陸を決行しました。
現地時刻23:50にアメリカン航空は接地しましたが、通常なら自動的にスポイラーが立ち上がり、オートブレーキが作動しますます。
しかし、アメリカン航空1420便は、両方とも自動で働かせる設定を忘れていたので、接地後の減速が遅れました。
スポイラーが立ち上がると、翼の上面の浮力がカットされ、機体重量は車輪に約65%かかります。
しかし、スポイラーがないと約15%しか、車輪に機体重量がかからないので、ブレーキの効きが悪くなってしまいます。
なので、この状態ではいくらブレーキを強く踏んだところで減速させる事は難しく、タイヤに重さがかかっていない分、タイヤがロックされやすく、最悪タイヤがパンクしてしまいます。
機長は、逆噴射装置を使用し減速を試みようとしましたが、あまりにも強く逆噴射しすぎたせいで、ラダーと垂直尾翼が失速し、地上で方向制御ができなくなってしまいました。
これにより、アメリカン航空は滑走路を約240m(800ft)オーバーランし、空港のフェンスや進入灯の土台などを破壊し、ようやく止まりました。

事故原因
事故調査委員会の見解によると:
- 目的地空港の天候が着陸に適しない中、操縦士達はアプローチを中断しなかった事
- 接地後、スポイラーの展開を確認しなかった事
と報告されました。
まとめ
人は焦っている時にミスを犯しやすくなります。
アメリカン航空1420便は、「悪天候」の中「時間的制約」に縛られていました。
嵐が来る前に一刻も早く着陸をしないと、他の空港にダイバーとしなければならない状況です。
それに加え、副操縦士の勤務時間が超過する可能性があるという懸念点も追加されておりました。
また、勤務時間ギリギリであったという事は、操縦士の疲労もピークに達していた事でしょう。
その中での飛行は、ストレスレベルが高くなり、パフォーマンスの低下も考えられます。
「焦らずにやるべき事を確実に行う事」がいかに難しいのか、知るきっかけとなった事故では無いでしょうか。
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【参考記事】
- 「アメリカン航空1420便オーバーラン事故」(2019年8月21日 (日) 21:19 UTCの版)『ウィキペディア日本語版・英語版』