【航空機事故】2007年シャトルアメリカオーバーラン事故

【航空機事故】2007年シャトルアメリカオーバーラン(Delta Connection Flight 6448)事故

概要

  • 日付:2/18/2007
  • 航空会社:シャトルアメリカ( Delta Connection flight 6448として運航)
  • 使用機材:Embraer ERJ-170,(機番:N862RW)
  • 乗員乗客:
    • 乗員:4名
    • 乗客:71名
    • 犠牲者:0名(軽症者:3名)
  • 出発地:ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港(Hartsfield-Jackson Atlanta International Airport. )
  • 目的地:クリーブランド・ホプキンス国際空港(Cleveland-Hopkins International Airport, Cleveland, Ohio)

シャトルアメリカは、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港を飛び立ち、現地時刻15:14分にクリーブランド・ホプキンス国際空港のRWY28にLocalizer アプローチを行なっておりました。

目的地の天候は雪が降っており、滑走路はContaminated RWYの状態となっておりとても滑りやすい状態でした。

Wind 330/16G22, VISI 1/4SM, Heavy Snow, -7℃, BKN300ft & 1,000ft, OVC1,500ft

接地後、飛行機は滑走路をオーバーランし、ILSアンテナに激突し、空港を囲うフェンスに激突し、止まりました。

オーバーランの際に、ノーズギアは破壊されてしまいました。

クリープランド・ホプキンス国際空港RWY28は1,861m(6,017ft)と、とても短い空港です。
KCLE

事故原因

当時、操縦士はGlide Slopeは使えないと伝えられていました。

NTSBは、操縦士がLocalizerミニマムではなく、ILSの(DH:Decision Height)まで降りてしまいました。

First OfficerがLandingを担当しており、着陸間近で滑走路が一瞬見えなくなりました。

それにもかかわらず、「Go Around」を行わず、接地点が伸びてしまったことに加え、リバーサーの使い忘れも発生しました。

もし、リバーサーを使い、最大のブレーキングが使えていたら滑走路内で止まることができたと見解しました。

さらに、NTSBはキャプテンの疲労も取り上げ、疲労のせいで有効なアプローチやランディングのモニター作業ができず、事故につながったとしました。

さらに、シャトルアメリカはキャプテンの疲労に対してアドバイスをしたり、疲れて果てているのであればDutyから外すこともできたのにもかかわらず、クルーや乗客を危険にさらした指摘しました。

更に、キャプテンは疲れを原因としてDutyから外れたら、自分が首になるかもしれないとの恐れを抱いており、そのような仕組みになっているシャトルアメリカの経営層の問題も指摘しました。

最後にNTSBは、FAAに対して、パイロットの疲労時のポリシーの作成、「Go Around」を行う際のStandard Calloutのトレーニング、天候悪化を理由に「Go Around」や「Missed Approach」を行うトレーニングやContaminated RWYで最大のパフォーマンスを発揮するトレーニングの必要性を訴えました。

まとめ

NTSBがまとめたシャトルアメリカの事故の要因は:

  • LOC DHではなく、より対地高度が低いILS DHまで降りてしまったこと
  • 短い滑走路でLong Landingになってしまったこと
  • キャプテンの疲労
  • 疲労による休みを取りづらくしてしまった、シャトルアメリカの経営体制

です。今回は、幸いにも犠牲者は出ずに、3人の怪我人だけで済みました。

Glide Slopeが使えないのであれば、LOCのDHまでしか降りてはいけないと決まっているのであれば、それにきちんと従う遂行能力や、目視物表が見えなくなったのであれば、間髪入れずGo Aroundを行う反射能力が必要です。

また、疲労が事故につながる代表的な事例となったのではないでしょうか。

仕事をすれば疲れるのは当たり前かもしれませんが、それが長引くと慢性的な疲労になり、完治まで時間がかかったり、その間のパフォーマンスが下がってしまうことも懸念しなければなりません。

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【参考文献】



エアラインパイロットのための航空事故防止 1