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【航空機事故】ジャーマンウイングス9525便墜落事故原因と影響

【航空機事故】ジャーマンウイングス9525便墜落事故原因と影響

By SEBASTIEN MORTIE – CC by 2.0

2015年3月に起こってしまった、ジャーマンウイングス9525便の墜落事故が世界の航空会社に大きな影響を与えました。

ドイツの格安航空(LCC)はなぜこのような事故を引き起こしてしまったのでしょうか。

基本情報:

  • 航空会社:ジャーマンウイングス
  • 機体:A320-211
  • 乗客乗員:
    • 機長:34歳男性
    • 副操縦士:27歳男性
    • キャビン:4名
    • 乗客:144名
  • 出発地:バルセロナ エル・プラット空港(スペイン)
  • 目的地:デュッセルドルフ空港(ドイツ)

ジャーマンウイングス9525便は、2015年3月14 日現地時刻10:01分(定刻26分遅れ)にスペインのバルセロナを飛び立ち、ドイツのデュッセルドルフ空港に向かっていました。

FL380で飛行しておりましたが、出発の29分後の10:30分ごろに急降下し始めました。機体はそのまま急降下し続け、23分後にレーダーから姿を消しました。

機体はアルプス山脈に激突しており、破片は2km周辺にまで散らばっておりました。

乗員乗客全員が犠牲になり、日本人の方も2名搭乗しておりました。

事故の衝撃は凄まじく、機体はほぼ原型を止めることなく、ブラックボックスの一部も大きく損傷しておりましたが、音声解析は可能でした。

事故現場のアルプス山脈 By Sébastien Thébault – CC by 3.0

原因:

事故調査委員会により、ボイスレコーダーと周辺への聞き込み調査により事件の概要が見えてきました。

それによると、副操縦士の自殺の説が有力とされております。当時もA320型機は2名体制で操縦をしておりました。

機長がトイレの為に席を立ち、副操縦士が一人でコックピットに止まる形となっておりました。

コックピットのドアにはテロ対策のため、鍵がつけられております。その鍵はコックピット側から開けることもできますが、外側のテンキーを入力すれば開けることができます。

機長は副操縦士が扉を開けないので、テンキー番号を入力しましたが扉が開きませんでした。

コックピット内では、扉を開けるためのテンキー番号が入力されたらブザーで知らせてくれます。そして、数十秒後に扉が開くシステムになっています。

そして、もし入室を拒止したい時には、ドアを開かなくするためにロックダウンすることもできます。

テンキー入力で開かないので、機長はドアをノックしたりインターフォンで呼びかけても副操縦士からの応答はありませんでした。

事故調査委員会は、副操縦士の意識喪失も視野に調査を進めましたが、最後までこの副操縦士には意識があったと見解しました。

そして、アルプス山脈に激突するまで機体は速度を落とすことなく突っ込んでいったので、破片が粉々になっていたのです。

自殺の原因は、副操縦士は鬱状態であったことが周りへの聞き込みでわかってきました。

当時のジャーマンウイングスの給料はとても安かったそうです。その上、責任がとてものし掛かるパイロットという職業のプレッシャーに悩まされておりました。

さらに、精神科を受診しており、この副操縦士は精神が不安定であることから「乗務停止」と医者に告げられていたにも関わらず、飛行機に乗務しておりました。

追い討ちをかけるように、恋人との別れが重なっておりました。精神科を受診したことが会社に伝わってしまい、「機長への道が閉ざされた」とも周りに漏らしていたそうです。

他にも与圧システムの不具合や、システムの不具合の説が上がっておりますが、今の所副操縦士の自殺の説が一番有力とされております。

オペレーションへの影響:

ジャーマンウイングス9525便の影響で、「操縦士常時2名体制」が取られました。

これは、操縦士のどちらかがトイレやその他の理由でコックピットを離れなければならない時、客室乗務員が1名コックピットに入室するという体制です。

しかし、この体制は一人入室することの利害関係を議論できぬまま勧告されたので、全ての航空会社に統一のルールではなくなってしまいました。

操縦士の自殺は、有償便、無償便、旅客便、貨物便に関係なく発生する可能性があります。

しかし、各航空会社は独自でこの体制のリスクとスレットを判断して、「操縦士常時2名体制」を行うかどうかを判断しております。

この体制を取らないと決めた航空会社の見解は、逆に客室乗務員を1人入れることでリスクやスレットが増えると判断したのです。

その理由は:

  1. 例えば、操縦士が一人になった時にもう一人の誰かの監督が必要などということは、信頼関係の崩壊と言えるでしょう。
  2. 飛行機の操縦に関してほぼ知識のない客室乗務員がコックピットにいると、緊急事態になった時に操縦士が対応に集中できなくなってしまう。
  3. 客室乗務員がコックピットにいても保安上のメリットが見当たらない上、さらなる保安の問題が生まれる可能性が高い。
  4. より多くの人がコックピットを出入りすると、保安上問題が出る可能性があるし、ドアが開くタイミングが他の乗客に察知されやすい。

まとめ

一昔前は、パイロットという職業は花形と言われておりました。しかし、注目されているがゆえに何か起きるとメディアにすぐに注目されてしまいます。

海外のLCCパイロットや小さな航空会社の賃金が低い問題や、労働環境の問題が取りざたされております。

パイロットが高給取りでいい生活をしていると考えるのは、日本だけのイメージかもしれません。

さらに、アメリカ同時多発テロ(9.11)後、コックピットのドアは丈夫に作られるようになりました。

コックピットに何者かが押し寄せてきても、絶対にドアを開けてはならないという流れができました。

しかし、ジャーマンウイングス9525便のような事件が起きてしまうと、客室側からコックピットのドアを開けられるようにするべきとの声が上がります。

また、客室乗務員をコックピットに入れる事により、不法侵入者を中に入れる事に繋がってしまう可能性も考えられます。

今回この事件が起きて、パイロットの労働環境の改善と、新しくできた「操縦士常時2名体制」のリスクを深く議論していく必要が生まれたのです。

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【参考文献】

エアラインパイロットのための航空事故防止 1

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