【航空機事故】ポルトガル航空425便墜落事故について
概要
- 日付:1977月11月19日
- 航空会社:ポルトガル航空
- 使用機材:B727-282 Advanced(機番:CS-TBR)
- 乗員乗客:
- 乗員:8名
- 機長:ジョアン・ロントラオ(Mr. João Lontrão)
- 副操縦士:ミゲル・ギマランイス・レアル(Mr. Miguel Guimarães Leal)
- 乗客:156名
- 犠牲者:131名(乗員:6名、乗客:125名、生存者33名)
- 出発地:ブリュッセル空港(ベルギー)
- 目的地:マデイラ空港
- 代換空港:グラン・カナリア空港(カナリア諸島)
ボルトガル航空425便は、ベルギーのブリュッセル空港を午後7:50分に移動開始し、カナリア諸島のマデイラ空港に向かっておりました。
離陸や巡航は順調にいき、ATCを受け継ぎ、高度5,000ft、3,500ftと降下していきました。
ATCからもらった天気情報では、マデイラ空港の使用滑走路はRWY06で、天候はWind 220/14, Temp19℃、VISI 4-5kmでした。
しかし、現地時刻20:50分のForecastでは、Wind Speed 220kt(113m/s)の風が吹いており、Cloud 7/8, Heavy Rainとなっておりました。
980ftまで降下してきたときに、地上物票や目標物が見えないので、1度Missed Approachを行いました。
ボルトガル航空425便はは、次が最後の着陸への挑戦と決めておりました。
また、今度はRWY24側からアプローチをしようとキャプテンが決めました。
RWY06/24の滑走路長は5,250ft(1,600m)程と、とても短く難しい空港の一つです。
そんな中ボルトガル航空425便は、乗員乗客164名を乗せて再び着陸作業に入りました。
21:45分、今度は空港のBeaconを見つけることができ、400ftで150ktの速度で降下を開始し、RWY24に着陸予定でアプローチを行いました。
ボルトガル航空425便は、約2,000ft(滑走路の約1/3)の地点に接地しました。
通常通り逆噴射やブレーキを作動させましたが、約43kt(80km/h)の速度でオーバーランしてしまい、約200ft (61m)滑走路の先で停止しました。
滑走路の先にあった、土手を超えて、近くの橋に激突して砂浜の上で停止しました。
この衝撃により、期待は大きく2つに折れ曲り、炎上・爆発し、131名の命が奪われてしまいました。
事故原因
事故調査委員会は、操縦士のApproach Procedureの違反を指摘しました。
ボルトガル航空425便は、滑走路進入端から2,060ftの地点に接地しており、通常より1,060ftも奥で接地しております。
また、アプローチ速度も148.2ktと、推奨されているアプローチ速度よりも19.2ktも速かったのです。
そのほかにも、ILSを行うにあたって必要な地上灯火が少なく、ILSアプローチを難しくしていた事や、難しい天候の中での短い滑走路への着陸。
更に、ハイドロプレーニング現象が発生したことなどもあげています。
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事故調査委員会は、マデイラ空港の天候観測システムの精度向上や、滑走路長の延長を勧めました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ただでさえ短い滑走路なのにも関わらず、約1,000ftも奥側に接地をしてしてしまったり、大雨の中でアプローチ速度を超えてしまっては、滑走路内で止まるようにするには、不利な方向に状況が傾いてしまいました。
着陸の試みが最後ということもあって、なるべく着陸したかった気持ちはわかりますが、そんなときでも安全第一を考えGo Aroundしなければいけない時は、機械的に判断する技術も必要です。
「豪雨」の中で「短い滑走路」へ着陸しなければいけない環境の中で、「パイロットの焦る気持ちや違反」が発生し、「ハイドロプレーニング現象」が引き起こされるなど、いろいろな面が重なって事故は起きてしまいました。
もし、この中のどれかがなければ事故は起こっていなかったかもしれないです。
例えば、マデイラ空港のRWY24が4,000m(13,123ft)もある滑走路であれば、きっと滑走路内で止まれていたでしょう。
事故後、マデイラ空港の滑走路は2度ほど延長され、滑走路全長は9,124ft(2,781m)となりました。
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【参考文献】
- 「TAP ポルトガル航空425便墜落事故」(2018年9月22日 (土) 14:09 UTCの版)『ウィキペディア日本語版・英語版』